小さくて持ち運びの便利な7mmの印鑑はどういう場面で使えるの?

普段、日本人なら何気なく利用している印鑑ですが、いろいろな決まりがあるということは知っているでしょうか。手持ちの印鑑が、ひょっとしたらいざという時に使えないということにならないよう、今まであまり気にしてこなかった印鑑について知っておくことが大切です。
よく見ると違う、印鑑の大きさや形について紹介していきます。
意外に知らない印鑑の種類1
印鑑の種類は?と聞かれてもイマイチわからないという人は多いでしょう。一般的な会話でよく耳にするのが、実印・認印・銀行印の3つです。ただ、実際にはこれらを全部一緒に使っているという人も少なくありません。本来、どのような違いがあるのでしょうか。
一番わかりやすいのは銀行印かもしれません。銀行で口座を作るときなどに登録する印鑑を指しています。一部の金融機関では、銀行印がなくても口座開設できるところも出てきていますが、まだ多くの金融機関では必要となっています。
銀行印の大きさについてはっきりとした定義はないのですが、10~20mmの大きさを使うことが一般的です。これは新しく口座を作る際に、新規口座申請書類の捺印する枠に入る大きさでないと受け付けてもらえないからです。
形も枠に入るものであれば規定がなく、角印で登録することも可能となっています。10mmより小さい印鑑を銀行印として登録することは可能ですが、印影が見にくいという理由から断られることもあります。
意外に知らない印鑑の種類2
土地や家を購入するときに必要となるのが実印です。この実印はあらかじめ市町村役場に登録しなければ実印として使用することができません。銀行印は各金融機関ごとに印鑑を変えることができますが、実印はひとり1本しか登録が認められておらず、家族間であっても共有は不可です。
この実印登録は、各自治体において大きさが決められています。一般的に個人の実印登録は「一辺が25mmの正方形に収まる、または一辺が8mmの正方形に収まらない」という決まりがあるようですが、自治体によっても細かい点は異なるのです。
一辺が6mmや7mmでもOKとしている自治体も実際にあります。実印の形については、特に規定はありません。丸形で登録している人がほとんどですが、角型や楕円形でもサイズさえクリアしていれば登録することができます。
ただし、実印は不動産取引には欠かせない重要な印鑑となるので、マネされないように読みにくい書体やフルネームで作ることが多くなります。あまり小さいサイズだと複雑な印影にすることが難しくなってしまうため、ある程度の大きさが好まれるのです。
認め印には決まりというものは存在しません。サインの代わりとなる印鑑であるため、イラスト入りなど自由に作ることができます。いくつでも作ることができますが、シャチハタのようにインクが補充されるタイプは、経年劣化で印影が大きく崩れてしまうこともあるので、使用不可となっていることも多いです。
7mm以下の印鑑の使い方
仕事を始めると使うケースが増えてくる印鑑に、7mm以下の小さな印鑑があります。パソコンが普及した現代では、仕事での会計処理は会計ソフトなどを使って行うことが多くなりましたが、手書きが一般的であった時代には帳簿に数字や文字を記入していました。
帳簿に書いた文字の誤りを訂正する場合には印鑑が必要となります。そのとき、一般的な大きさの印鑑を使用すると、ほかの文字に重なって帳簿が見えにくくなってしまうことから、簿記印と呼ばれる小さな印鑑が使われたのです。
パソコンが普及した今でも、手書きの伝票などでは7mm以下の小さな印鑑が訂正印として広く使われています。実はこの小さな印鑑は、訂正印として売られていることが多いのですが、「訂正印」という名前の印鑑はもともとはないのです。
なぜなら、正式な書類に書かれている文字を訂正したい場合、同じ書類で使用されている銀行印や認印と同じ押印でないと訂正印として認められないからです。小さな印鑑が訂正印として使用できるのは、あくまで簡易的な訂正の場合に限るということになります。
逆に、7mm以下の印鑑であっても、場合によっては銀行印や実印として認められることもあります。7mm以下だから訂正印なのではなく、小さいから訂正に使うというのが正しいと言えるのです。
法人の実印登録で小さい印鑑は可能?

もし個人的な実印登録を小さな印鑑で行っていた時、会社を立ち上げてその印鑑を法人登録に変更したいと考える人もいるでしょう。
その印鑑を使って仕事を行い、会社まで立ち上げることができるようになったということであれば、縁起を担いでそのまま使い続けたいと思うのは当然のことです。
しかし使用している個人用の実印が10mmに満たない場合、その印鑑は法人用の実印として登録することができません。法人用の実印登録は「10mmの正方形に収まらない大きさで、30mmの正方形に収まるものである」という明確な規定があるからです。
個人の実印登録よりも少し大きめに設定されているのは、会社名の正式登録が長くなることを想定していることも関係しています。会社で使う実印は正式には代表者印と言い、法務局に登録して行います。個人の実印は、住民票に記載されている名前を使用して登録する決まりがあり、男性であればフルネーム、名字が変わることが多い女性の場合は名前を使って作成されます。
代表者印は基本的に個人名が入ることはありません。一番の特徴は、外側と内側の二重構造であるということです。外側の円には会社名や店の名前などを入れ、内側には株式会社の場合は「代表取締役印」、個人商店などの場合は「代表者印」と入れるのです。
会社名にアルファベットが使われている場合も、カタカナに変換せずそのまま代表者印で使うことが可能となっています。興味深いことに、代表者印は実際に登録した商号と違いがあっても構わないとされています。企業名が長くなってしまうときなど、略称で代表者印を作ることは構わないのです。
大きさだけは規定内に収まるように注意しましょう。
小さい印鑑は使用目的に注意しよう
市販されている安価な印鑑は、だいたい大きさや形が揃っています。しかし一から自分でデザインする印鑑というのは、使用目的に合わせて作る必要があるのです。小さくて持ち運びに便利だからといって10mm以下で印鑑を作ってしまうと、実際には簡易目的の訂正印としてしか使用できない可能性もあります。
また印鑑というのは日本人にはとても重要な意味を持っていて、素材や文字によってその人の運気を変えるとまで言われているのです。インターネットなどで手軽に印鑑を作れる時代にはなりましたが、印鑑にはきちんとした意味があるということを知っておくことは日本人として重要なことでもあるのです。